最初にがんが見つかったのは53歳のときで、腎盂がんでした。血尿が出たので、近所の病院を受診して、大きい病院を紹介され診断されました。診断の翌月に右側の腎臓と尿管を摘出する手術を受けました。当時、主治医からは「今は膀胱にがんは無いけれども、腎盂がんは膀胱に再発しやすいので、4ヵ月ごとに検査をしましょう」と言われました。そして、手術から4ヵ月後の定期検査で膀胱がんが見つかりました。
最初は不安やショックでしたね。私は職業柄、早期発見や早期治療によって、治るがんも多くあるということは理解していました。そのため、私の不安はがんになって命が奪われるかもしれないという不安よりも、どのような治療をする必要があるのか、今後の日常生活に制限が出るのか、転移したらどうなるのかなど、将来に対する不安が大きかったです。
不安や疑問を払しょくするために、血尿が出たときも、腎盂がんと診断されたときも、大学病院のウェブサイトを中心に、病気のことを自分でよく調べました。
また、私はもともと健康に気を遣うタイプではなかったので、がんと診断される前はお酒を飲み、ヘビースモーカーで煙草を吸っていました。がんとの関係は不明ですが、今では健康を意識して、禁煙はしています。ただ、お酒はあまり控えられていないですね。
膀胱がんが見つかったときは小さな病変だったので、自覚症状が全くありませんでした。尿細胞診(尿の中の悪性細胞を調べる検査)では陽性にならず、膀胱鏡でよく観察しないと分からないレベルで、主治医からは「すぐ切除する必要はないので様子を見ましょう」と言われました。
その4ヵ月後と8ヵ月後の定期検査でも、病変の形や大きさは変わっていなかったのですが、漠然とした不安から主治医に病変部の切除をしたいと伝えました。相談して、膀胱がんの診断から9ヵ月後に経尿道的膀胱腫瘍切除術(けいにょうどうてきぼうこうしゅようせつじょじゅつ、TURBT)を受けました。手術時間は短時間で済み、入院は4日間でした。現在、その手術から2ヵ月経過したところです。
個人差はあると思いますが、私はこれまでがんによる体調不良はなかったので、仕事への影響はさほどありませんでした。
今でも、定期検査の1ヵ月ほど前から不安になります。私は精神的に強くないので、検査が近づいてくると、「何事も起きませんように」と祈りながら、4ヵ月毎に検査を受けています。
不安が強くなったときは、私は誰かと話すようにしています。腎盂がんがわかったときから相談していて、今でもふとした時に、電話などで友人に不安なことを話して、何か言ってもらうだけで不安は多少紛れます。いつでも相談できる友人は宝物ですね。
診察時には妻が同席してくれるため、大変心強く感じます。私は医師との会話内容を確実に記憶したい性格ですので、勘違いや聞き逃しを防ぎ、安心感を持つことができます。診察中は医師の説明に納得しているつもりでも、その後ふと、「先生はこう言っていたが、聞き間違いではなかったか」、あるいは「どのようなニュアンスで話していたか」など、医師の発言を再度思い出すことが多々あります。妻と振り返ることで「医師はこう言っていたね」と認識を共有することができ、大きな支えとなっています。今後も、診察時には常に隣にいてもらうようにしたいと思っています。